お正月を迎える準備として、今年は自分でしめ縄を作ってみたいと考えていませんか?
「なんだか難しそう」「プロじゃないと無理なのでは」と不安に思う方も多いですが、コツさえ掴めば、初めての方でも立派な注連縄を綯う(なう)ことができます。
この記事では、藁の準備から仕上げの装飾まで、まるで手元を見ているかのように具体的な手順をご紹介します。
左巻きと右巻きの違いや、神棚に飾る際のマナー、さらには100均の材料を使った手軽なアレンジ方法まで幅広く解説します。ご自身のライフスタイルに合わせて挑戦してみてください。
手作りのしめ縄で迎えるお正月は、きっと格別なものになるはずですよ。
この記事でわかること:
- 初心者でも失敗しないしめ縄の綯い方(ないかた)の基本手順
- 神棚用しめ縄における「左巻き(左なえ)」の重要な意味と作り方
- 本格的な藁(わら)の下処理から100均素材での代用テクニック
- お正月飾りに込められた意味や飾る時期などの正しいマナー
初心者でも分かるしめ縄の作り方を図解のように徹底解説
- 必要な材料と道具を揃えて準備万端にする
- 藁の下準備が美しい仕上がりの8割を決める
- 左巻きと右巻きの違いとは?神棚用はどっち?
- しめ縄の綯い方(ないかた)の手順を具体的に解説
- 神棚によく使われるごぼう注連の作り方とコツ
- 両端が細く中央が太い大根注連の特徴と仕上げ方
- 100均の材料で簡単アレンジする方法
必要な材料と道具を揃えて準備万端にする

しめ縄作りをスムーズに進めるためには、事前の道具選びが非常に大切です。途中で「あれがない!」と慌てないように、まずは必要なものをしっかりとリストアップしておきましょう。
本格的な藁を使う場合も、手軽な素材を使う場合も、基本となる道具はほとんど変わりません。
これらの道具は、特別な専門店に行かなくても揃うものばかりです。もし木槌がない場合は、空き瓶の底(厚手のもの)や、硬い木の棒などで代用することも可能です。
ただし、藁をしっかりと叩く必要があるので、ある程度の重さがあるものが望ましいでしょう。
また、作業をする際は、汚れても良い服装で行うことをおすすめします。藁の細かい繊維が服につくことがあるため、エプロンを着用するのも良いアイデアです。準備が整ったら、いよいよしめ縄作りの第一歩、藁の下処理に入ります。
藁の下準備が美しい仕上がりの8割を決める
しめ縄作りにおいて、最も重要と言っても過言ではないのが「藁の下準備」です。いきなり藁をねじり始めても、硬くてうまくまとまらず、ボロボロと折れてしまうことがよくあります。
美しい縄を作るためには、藁を「しなやかで扱いやすい状態」にすることが不可欠です。この工程を丁寧に行うかどうかが、プロのような仕上がりになるか、素人っぽい仕上がりになるかの分かれ道となります。
1. 袴(はかま)を取り除く
まず、藁の根元に付いている「袴(はかま)」と呼ばれる外側の皮を取り除きます。袴が付いたままだと、縄の表面がごわごわして見た目が悪くなるだけでなく、手触りも悪くなってしまいます。
一本一本丁寧に袴を剥き、綺麗な茎(中身)だけの状態にしましょう。
2. 藁を湿らせる
乾燥した藁は非常に脆く、そのまま曲げるとポキッと折れてしまいます。そこで、霧吹きを使って藁全体にたっぷりと水を吹きかけます。
もし時間に余裕がある場合は、水を張ったバケツに藁を軽く浸し、濡れたタオルや新聞紙で包んで数時間から一晩ほど置いておくと、芯まで水分が浸透してより扱いやすくなります。

藁が十分に湿っていないと、綯(な)う途中で切れてしまって、せっかくの苦労が水の泡になってしまいます。「少し濡れすぎかな?」と思うくらいしっかりと湿らせるのがコツですよ。
3. 藁を叩く
湿らせた藁を、木槌や麺棒で叩きます。この作業を「藁打ち」と言います。コンクリートの上や木の板の上で行いましょう。
叩くことで藁の繊維がほぐれ、布のように柔らかく丈夫になります。特に、縄を綯い始める根元の部分は入念に叩いておくと、最初のねじりがスムーズになります。
左巻きと右巻きの違いとは?神棚用はどっち?

いざ縄を綯おうとしたときに、「あれ?どっち回しだっけ?」と迷うことがあります。実は、しめ縄には「左巻き(左なえ)」と「右巻き(右なえ)」の2種類があり、用途によって明確に使い分けられています。
この違いを理解しておかないと、せっかく作ったしめ縄が逆の意味を持ってしまうこともあるため、しっかりと確認しておきましょう。
| 種類 | 綯い方(ねじり方) | 主な用途 | 意味合い |
|---|---|---|---|
| 左巻き(左なえ) | 右にねじって左に交差 | 神棚、神社のしめ縄 | 太陽の巡り、神聖、天 |
| 右巻き(右なえ) | 左にねじって右に交差 | 日常の荷造り、農業用 | 日常、実用 |
神棚や正月飾りに使われるしめ縄は、基本的に「左巻き(左なえ)」で作ります。これは、太陽が東から昇って南を通り、西へ沈むという「左回り」の運行に由来していると言われています。
また、日本では古くから「左を上位(聖なるもの)」、右を下位(俗なるもの)とする考え方があり、神様に関わるものは左を優先します。
一方、私たちが普段の生活で紐を結んだり、荷物を縛ったりするときに自然と行っているのが「右巻き」です。これは力の入りやすい方向であり、実用的な縄の綯い方です。
「神様用は左巻き!」と覚えておけば間違いありません。これから解説する手順も、この「左巻き」を前提に進めていきます。
しめ縄の綯い方(ないかた)の手順を具体的に解説
それでは、いよいよ実践です。ここでは、神棚用の基本となる「左巻き」のしめ縄の綯い方を解説します。
写真や図解がなくてもイメージできるよう、手の動きを具体的に言葉にしていますので、一つひとつの動作を確認しながら進めてください。
ステップ1:藁を束ねて固定する
まず、下準備した藁を8~10本程度(作りたい太さに合わせて調整)用意し、根元を揃えます。根元から数センチのところを麻紐やビニール紐でしっかりと縛ります。
初心者の場合は、この縛った部分を足の親指で挟んだり、重いもので固定したりすると、両手が自由に使えて作業しやすくなります。
ステップ2:束を2つに分ける
縛った藁の束を、均等な量になるように2つの束(AとBとします)に分けます。左手で左側の束(A)、右手で右側の束(B)を持ちます。
ステップ3:右にねじる(重要!)
ここが最大のポイントです。それぞれの束自体は「右方向(時計回り)」に強くねじります。右手のひらを使って、束Bを右側にクリクリと強くねじり上げてください。しっかりと強い撚り(より)をかけることで、綺麗な縄になります。
ステップ4:左に交差させる(綯う)
束自体を右にねじった状態を保ちながら、今度は2つの束を「左方向(反時計回り)」に交差させます。
具体的には、右手に持っている束(B)を、左手に持っている束(A)の「上」を通して左側へ持ってきます。このとき、束Aは下を通って右側へ移動します。

「束は右回転、交差は左回転」というのが合言葉です!手が逆方向に動くので最初は混乱するかもしれませんが、雑巾を絞るようなイメージを持つと分かりやすいですよ。
ステップ5:繰り返す
交差させたら、またそれぞれの束を右方向に強くねじり直し、再び左方向へ交差させます。「右ねじり、左交差、右ねじり、左交差…」このリズムを崩さずに、藁の先端まで繰り返していきます。
ある程度進んだら、手を止めて縄の状態を確認してみましょう。縄の目が詰まっていて、手を離してもほどけないようになっていれば成功です。
最後まで綯い終わったら、先端を麻紐で縛って固定します。飛び出している細かい藁(ケバ)をハサミで綺麗にカットすれば、基本の縄の完成です。
神棚によく使われるごぼう注連の作り方とコツ

「ごぼう注連(じめ)」は、その名の通り野菜の牛蒡(ごぼう)のように、片方が太く、もう片方に向かって徐々に細くなっていく形状のしめ縄です。
一般家庭の神棚で最もよく見られるタイプで、スッキリとした見た目が特徴です。基本的な綯い方は先ほどの「左巻き」と同じですが、太さを変化させるために藁の足し方に工夫が必要です。
藁をずらして束ねる
通常の縄は同じ太さで作りますが、ごぼう注連を作る際は、最初に藁を束ねる段階で工夫します。
まず、芯となる長い藁を用意し、その根元付近に短い藁を数本足して太さを出します。こうすることで、根元は太く、先に行くほど藁の本数が減って細くなるようなグラデーションを作ることができます。
根元を特に太くする
綯い始め(太い方)の部分は、しっかりと藁を補充してボリュームを出しましょう。もし途中で藁が足りなくなって細くなりすぎそうな場合は、綯っている途中で新しい藁を継ぎ足し(差し込み)、一緒に巻き込んでいくときれいに繋がります。
両端が細く中央が太い大根注連の特徴と仕上げ方
「大根注連(じめ)」は、両端が細く、中央部分がぷっくりと太くなっている形状のしめ縄です。その形が大根に似ていることからこの名がつきました。
ごぼう注連よりもボリューム感があり、玄関用のしめ飾りや、大きめの神棚によく使われます。この形状を作るのは少しテクニックが必要ですが、基本の応用で作成可能です。
中央に藁を足していく
大根注連を作る際は、最初は少なめの藁で綯い始め、中央に近づくにつれて藁をどんどん足していきます。
綯う作業の合間に、新しい藁の束を「芯」として内側に包み込むように差し込んでいきます。そして、中央を過ぎたら今度は藁を足すのをやめ、徐々に細くなるように綯い進めます。
3本で綯う方法もある
より太さを出したい場合は、2本ではなく3本の束を使って綯う方法もあります。3本の束を使い、三つ編みのような要領で、しかしねじりを加えながら丸く仕上げていく技法です。
大根注連は存在感があるため、完成後に丸めて「輪飾り」にするのにも適しています。中央の太い部分が輪の下にくるようにして円を作り、細い両端を上で交差させて縛れば、おしゃれなリース型のしめ飾りのベースになります。
100均の材料で簡単アレンジする方法

「藁を用意するのはハードルが高い」「もっと手軽に作りたい」という方には、100円ショップで手に入る材料を使ったアレンジしめ縄がおすすめです。
おすすめの100均素材と活用法
| 素材 | 特徴 | おすすめアレンジ |
|---|---|---|
| 紙紐(ペーパーラフィア) | 色の種類が豊富で扱いやすい。手が痛くならない。 | 紅白や金色の紐を使って、モダンなインテリアしめ縄に。 |
| 麻紐・ジュート | ナチュラルな雰囲気が出る。丈夫で藁に近い質感。 | ドライフラワーや松ぼっくりを飾ったカフェ風リース。 |
| 水引(みずひき) | 伝統的な美しさ。アクセントとして最適。 | しめ縄の結び目に添えて、上品さをプラス。 |
紙紐を使った作り方の手順
基本の手順は藁と同じです。紙紐を数十本束ねて、2つの束に分け、「右ねじり・左交差」で綯っていきます。紙紐は藁のように水で湿らせる必要がないため、すぐに作業に取り掛かれるのが最大のメリットです。
また、100均で売っている「既製品のしめ縄ベース」を購入し、そこに造花や折り紙、千代紙で作った扇などをグルーガンで接着するだけでも、オリジナルのしめ飾りが完成します。

伝統的な藁も素敵ですが、部屋の雰囲気に合わせてカラフルな紙紐で作るのも現代的で楽しいですね。形にこだわらず、新年を祝う気持ちを込めることが何より大切です。
しめ縄の作り方を図解で学んだ後に知っておきたい飾りの意味やマナー
- しめ縄に飾る裏白や譲り葉の意味とは?
- 神聖な紙垂(しで)の作り方と付け方のポイント
- しめ縄を飾る正しい時期と処分のマナー
- よくある失敗と対処法Q&A
- しめ縄の作り方を図解でおさらい!まとめ
しめ縄に飾る裏白や譲り葉の意味とは?
しめ縄本体ができあがったら、次は飾り付けです。しめ縄に付けられる植物や飾りには、それぞれ深い意味や願いが込められています。
裏白(うらじろ)
シダ植物の一種です。葉の裏が白いことから、「心に裏表がない潔白さ」を表します。また、葉が左右対称に生えていることから「夫婦円満」、古い葉が落ちずに新しい葉が出てくることから「長寿」の願いも込められています。
譲り葉(ゆずりは)
新しい葉が出てきてから古い葉が落ちるという特徴を持つ植物です。この様子を、親から子へ、子から孫へと家督を譲っていく姿に見立て、「家系が絶えない」「子孫繁栄」の象徴とされています。
橙(だいだい)
ミカン科の果実です。橙の実の読み方が「代々(だいだい)」に通じることから、「代々家が栄えるように」という願いが込められています。冬になっても実が木から落ちにくいことも、縁起が良いとされる理由の一つです。
神聖な紙垂(しで)の作り方と付け方のポイント

しめ縄にぶら下がっている白いギザギザの紙を「紙垂(しで)」と呼びます。紙垂は、そこが神聖な場所(結界)であることを示し、不浄なものを寄せ付けない役割を持っています。
紙垂の作り方
半紙や奉書紙(ほうしょがみ)があれば、自分で簡単に作ることができます。
- 長方形の紙を横長に置き、半分に折ります。
- さらに半分に折り、4等分の筋をつけます。
- カッターやハサミで、交互に切り込みを入れます(上から2/3、下から2/3といった具合に)。
- 切り込みに合わせて手前に折り返していくと、独特の稲妻型になります。
付け方のポイント
一般的に、紙垂はしめ縄の縄目の間に挟み込むようにして取り付けます。ごぼう注連の場合、通常は4枚(四垂・よたれ)垂らすのが基本とされています。これは春夏秋冬を表しているとも言われます。
しめ縄を飾る正しい時期と処分のマナー
心を込めて作ったしめ縄ですから、飾るタイミングや片付ける時期もしっかりとマナーを守りたいものです。詳しい作法については、神社本庁(公式)の解説も参考になります。
飾る時期:12月28日までがベスト
正月事始めとされる12月13日以降ならいつでも飾って良いとされていますが、現代ではクリスマスが終わった25日以降に飾るのが一般的です。特に12月28日は、末広がりの「八」が付くため、最も縁起が良い日とされています。
外す時期:松の内が明けたら
しめ縄を飾っておく期間を「松の内」と言います。これは地域によって異なり、関東では一般的に1月7日まで、関西では1月15日までとされています。
処分の方法
外したしめ縄は、地域の神社で行われる「どんど焼き(左義長)」に持って行き、お焚き上げしてもらうのが最も丁寧な処分方法です。もしどんど焼きに行けない場合は、塩で清め、半紙や新聞紙に綺麗に包んでから、一般ごみとして出しましょう。
よくある失敗と対処法Q&A

- Q. 藁をねじっている最中にポキポキ折れてしまいます。
- A. これは「水分不足」と「叩き不足」が主な原因です。もう一度しっかりと霧吹きで水をかけ、木槌で繊維が潰れるくらい入念に叩いてから再挑戦してみてください。
- Q. 縄が緩んでしまい、きつく締まりません。
- A. 束そのものを右方向に限界までねじってから、左に交差させることが締まりを生むコツです。ねじりが戻らないように、常にテンションをかけた状態で作業しましょう。
- Q. 神棚に向かって、太い方は右?左?
- A. 一般的には、向かって右側に太い方(根元)が来るように飾ります。しかし、出雲大社のように逆向きとする地域もあります。地元の氏神様や、家のしきたりに合わせるのが正解です。
- Q. 完成したしめ縄にカビが生えてしまいました。
- A. 湿らせた藁を使った後、乾燥が不十分だとカビの原因になります。完成後は風通しの良い日陰でしっかりと乾燥させてください。
しめ縄の作り方を図解でおさらい!まとめ
- しめ縄作りは材料の準備が8割、特に藁の下処理が重要である
- 乾燥した藁は折れやすいので、十分に水で湿らせておく
- 藁を木槌で叩くことで繊維が柔らかくなり、綯いやすくなる
- 神棚用のしめ縄は、太陽の巡りに合わせた「左巻き(左なえ)」が基本
- 「左巻き」とは、束を右にねじりながら左に交差させていく手法
- ごぼう注連は片方が細く、大根注連は両端が細く中央が太い
- 100均の紙紐や麻紐を使えば、手軽にアレンジしめ縄が作れる
- 裏白は潔白・長寿、譲り葉は子孫繁栄、橙は代々の繁栄を意味する
- 飾る時期は12月28日がベストで、29日と31日は避けるべき
- 処分は神社の「どんど焼き」に出すのが最も望ましい

