神社へお参りに行くと、参道の脇に水が流れている場所を見かけることが多いですよね。
「手を洗う場所だとは知っているけれど、正式な名前や正しい作法までは自信がない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、あの場所には古くから伝わる大切な意味があり、正しい手順で身体を清めることで、神様へのご挨拶がより丁寧なものになります。
最近では、花が飾られていたり、感染症対策で柄杓が置かれていなかったりと、時代に合わせてスタイルも変化しています。
この記事では、読み方やマナー、左利きの場合の対処法から、龍の形をしている理由まで、参拝前に知っておきたい知識をわかりやすく解説します。
この記事でわかること:
- 「手水舎」の正しい読み方と本来の役割
- 初めてでも安心できる基本の作法と手順
- 柄杓がない場合やハンカチの必要性などのマナー
- 龍のモチーフや花手水など知って楽しい豆知識
神社の手を洗うところの名前と意味を知り基本の作法をマスターしよう
- 「手水舎」の正しい読み方と水盤などの名称について
- 単なる手洗いではない?禊としての重要な役割と意味
- 左手から始めるのが基本!正しい手順の5ステップを解説
- 一杯の水ですべて清める?美しい所作のポイント
- 口をすすぐ時の注意点と絶対にやってはいけないこと
- 濡れた手はどうする?ハンカチを持参すべき理由とマナー
「手水舎」の正しい読み方と水盤などの名称について

神社の入口近くにある、屋根の下に水が溜められている場所。皆さんはこの場所を普段何と呼んでいますか?一般的には「手を洗うところ」と認識されていますが、実はしっかりとした正式名称が存在します。
この場所は「手水舎」と書き、読み方はいくつかあります。
| 漢字表記 | 一般的な読み方 | その他の読み方 |
|---|---|---|
| 手水舎 | ちょうずや | てみずや、てみずしゃ |
| 手水 | ちょうず | てみず |
最も一般的な読み方は「ちょうずや」ですが、「てみずや」と読んでも間違いではありません。また、水が溜まっている石造りの水槽部分は「水盤(すいばん)」や「水鉢(みずばち)」と呼ばれています。

「御手洗(みたらい)」と書かれていることもありますが、現代ではトイレを指す言葉として定着しているので、会話で使う時は「手水舎」と言ったほうが誤解がないですよ。
言葉の意味を知ると、神社という場所がより神聖なものに感じられるはずです。次回の参拝時には、ぜひ同伴の方に「これは手水舎(ちょうずや)って言うんだよ」と教えてあげてみてください。
単なる手洗いではない?禊としての重要な役割と意味

手水舎は、単に汚れた手を洗うための衛生設備ではありません。これには、神道における非常に重要な儀式である「禊(みそぎ)」を簡略化したものという深い意味があります。
古来、神様にお参りする前には、海や川に入って全身を洗い清める「禊」を行うのが習わしでした。これは、日常生活で知らず知らずのうちに身についてしまった「穢れ(けがれ)」を落とし、清らかな状態で神聖な場所(神域)へ入るための必須条件だったのです。
したがって、トイレの手洗い場のようにゴシゴシと汚れを落とす場所とは根本的に異なります。心を落ち着かせ、神様に向き合う準備をするための神聖なエリアであることを意識しましょう。
左手から始めるのが基本!正しい手順の5ステップを解説

それでは、実際にどのように清めればよいのでしょうか。基本の作法は多くの神社で共通しており、一度覚えてしまえば全国どこの神社でも自信を持って振る舞うことができます。
手順は大きく分けて以下の5つのステップで行います。
- 左手を清める
右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、水を汲んで左手にかけます。 - 右手を清める
柄杓を左手に持ち替え、同様に右手に水をかけます。 - 口を清める
再び柄杓を右手に持ち、左手の掌(てのひら)に水を受け、その水で口をすすぎます。 - 再度左手を清める
口をつけた左手を、もう一度水で洗い流します。 - 柄杓を清める
最後に、残った水が柄(持ち手)のほうへ流れるように柄杓を垂直に立てて洗い、元の位置に伏せて戻します。

最初は難しく感じるかもしれませんが、「左→右→口→左→柄」というリズムを覚えてしまえば簡単です。神道では「左」を上位とする考え方があるため、左手から始めるのが基本とされています。
一杯の水ですべて清める?美しい所作のポイント

前述した5つのステップを行う際、最も美しく、かつ重要なポイントがあります。それは、「最初に汲んだ一杯の水ですべての動作を行う」ということです。
途中で水が足りなくなって何度も汲み直すのは、あまりスマートな所作とは言えません。最初に柄杓たっぷりに水を汲み、計算しながら少しずつ使っていくのがコツです。
| 動作 | 水の使用量の目安 |
|---|---|
| 左手 | 全体の2割程度 |
| 右手 | 全体の2割程度 |
| 口 | 全体の2割程度 |
| 左手(再) | 全体の1割程度 |
| 柄杓 | 残りの3割(立てて流す分) |
このように配分を意識すると、最後まできれいに流れがつながります。水は神様からの授かりものですから、無駄にせず大切に使うという心がけが、美しい所作に繋がるのです。
口をすすぐ時の注意点と絶対にやってはいけないこと
手水の手順の中で、特に気をつけなければならないのが「口の清め方」です。衛生面やマナーの観点から、絶対にやってはいけないタブーが存在します。
これは、次に使う人への配慮であると同時に、神具である柄杓を汚さないためのマナーです。また、口に含んだ水は飲み込まず、吐き出すのが正式な作法です。吐き出す際は、手で口元を覆い隠し、音を立てずに静かに足元の排水溝へ流すようにしましょう。
もし、口をすすぐことに抵抗がある場合は、無理に行わなくても構いません。形だけ真似るか、あるいは「口を清める」という意思を持つだけでも、神様への敬意は伝わるとされています。
濡れた手はどうする?ハンカチを持参すべき理由とマナー
手水舎でお清めが終わった後、濡れた手をどう処理していますか?実は、ここにも参拝者のマナーが問われるポイントがあります。
手水舎には基本的にペーパータオルやハンドドライヤーなどは備え付けられていません。そのため、必ず清潔なハンカチや手ぬぐいを持参する必要があります。
避けるべき行動:
- 濡れた手を洋服で拭く
- 髪の毛を撫でて拭く
- 手を振って自然乾燥させようとして、周囲に水を撒き散らす

お賽銭を入れたり、鈴緒(ガラガラ)を握ったりする前に、手はしっかりと拭いておきましょう。濡れたまま神具や賽銭箱に触れるのは、建物を傷める原因にもなりかねませんし、何よりマナー違反です。
神社の手を洗うところに関する現代の事情やよくある疑問を解決
- 感染症対策で柄杓がない?流水式の場合の洗い方
- なぜ龍の口から水が出ているの?水神としての深い意味
- 見た目も美しい「花手水」とは?写真映えする新たな楽しみ方
- 左利きの場合はどうする?無理なく行える作法の考え方
- 冬場で水が凍っている時や水が出ない時の対処法
- 神社の手を洗うところに関するまとめと心構え
感染症対策で柄杓がない?流水式の場合の洗い方

近年、感染症対策の影響で、多くの神社から柄杓が撤去されました。久しぶりに神社に行ってみたら、「柄杓がない!どうやって洗えばいいの?」と戸惑った経験がある方も多いはずです。
柄杓がない場合は、以下のような「流水式」のスタイルが一般的になっています。
柄杓を使う手順(柄杓を立てて洗うなど)が省略される分、シンプルになります。「直接手で受けて洗う」という点さえ押さえておけば大丈夫です。神社側も状況に合わせて変化していますので、その場の形式に合わせて柔軟に対応しましょう。
なぜ龍の口から水が出ているの?水神としての深い意味

手水舎の吐水口(水が出てくるところ)を見ると、多くの場所で「龍」の形をしていることに気づきませんか?これには、単なる装飾以上の深い理由があります。
龍は古来より「水神(水の神様)」として崇められてきました。水を司り、雨を降らせ、農作物を実らせる力を持つ聖獣とされています。神聖な水を供給する役割として、龍はまさに適任なのです。

龍の口から出る水は「清らかな水」の象徴です。かっこいいデザインだなぁと思って見ていましたが、ちゃんと意味があって配置されているんですね。
また、龍以外にも、その神社にゆかりのある動物(鹿や兎など)がモチーフになっている場合もあります。参拝の際は、何から水が出ているかに注目してみるのも面白い発見があるかもしれません。
見た目も美しい「花手水」とは?写真映えする新たな楽しみ方

最近、SNSなどで「花手水(はなちょうず)」という言葉を見かけることが増えました。これは、感染症対策で手水としての機能を使わなくなった水盤に、色とりどりの花(紫陽花や菊など)を浮かべて飾る取り組みのことです。
京都の柳谷観音楊谷寺が発祥とされることが多く、現在では全国の神社仏閣へ広がっています。
もし花手水が行われている場合、手を洗うことはできませんが、美しい花を見て心を和ませることもまた、現代における「心の浄化」の形と言えるでしょう。その場合は、近くに代替の手洗い設備が用意されていることが多いので、そちらを利用してください。
左利きの場合はどうする?無理なく行える作法の考え方

「作法では左手から洗うとあるけれど、左利きの人はどうすればいいの?」という疑問を持つ方もいらっしゃいます。結論から言うと、基本的には右利きの人と同じ手順(右手で柄杓を持ち、左手から洗う)で行うのが一般的です。
神道には「左上位(さじょうい)」という考え方があり、左を神聖なものとする伝統があります。そのため、作法も左から始める型が決まっています。

とはいえ、どうしても利き手でないとうまく柄杓を扱えない、水をこぼしてしまうという場合は、無理をする必要はありません。大切なのは「清める心」ですから、安全に行える方法で丁寧に行えば神様も許してくださるはずですよ。
冬場で水が凍っている時や水が出ない時の対処法

冬の寒い時期や、地方の無人の神社などでは、手水舎の水が凍っていたり、そもそも水が出ていなかったりすることがあります。このような場合、無理に水を使おうとしなくて大丈夫です。
水がない場合は、以下の対処法が推奨されます。
- 「祓い(はらい)」の動作だけを行う
水があるつもりで、手水の所作(エア手水)を行い、気持ちの上で身を清めます。 - 草木の露などで代用する
古来の方法に近いですが、現代ではあまり一般的ではありません。 - 心の中で唱える
「祓い給え、清め給え」と心の中で念じ、一礼してから参拝へ向かいます。
形式にとらわれすぎて、凍った水で手を冷やしすぎて体調を崩しては本末転倒です。状況に応じて、「心」を清めることを最優先に考えてください。
神社の手を洗うところに関するまとめと心構え

ここまで、手水舎の作法や意味について詳しく解説してきました。最後に改めてお伝えしたいのは、作法はあくまで「心を整えるための手段」であるということです。
手順を間違えたからといって、バチが当たるようなことはありません。一番良くないのは、形式ばかり気にして、神様への敬意を忘れてしまうことです。「これから神様の御前に立つんだ」という神聖な気持ちを持って、丁寧に水を扱えば、自然と美しい所作になります。
さいごに、記事の内容をまとめます。
- 神社の手を洗う場所の正式名称は「手水舎(ちょうずや)」。
- 手水は「禊(みそぎ)」を簡略化した儀式である。
- 心身の穢れを落とし、神域に入る準備をする場所。
- 基本の手順は「左手→右手→口→左手→柄杓」の順。
- 最初の一杯の水ですべての工程を行うのが美しい作法。
- 柄杓に直接口をつけるのは厳禁。
- 水は飲み込まず、手で隠して静かに吐き出す。
- 必ず清潔なハンカチや手ぬぐいを持参する。
- 濡れた手で髪や服を触ったり、自然乾燥させたりしない。
- 柄杓がない場合は、流水で直接手を清めても良い。
- 龍の吐水口は「水神」としての象徴である。
- 花手水は手を洗えないが、見て心を清めるおもてなし。
- 左利きでも基本は右利きと同じ手順で行うのが通例。
- 水がない時は、無理せず心の中で清める意識を持つ。
- 最も大切なのは、形式よりも神様に向き合う清らかな心。

